こんにちは、ハルチカの山田です。
これまでの記事で「無添加」や「奥美濃古地鶏」「清流美どり」についてお話ししてきましたが、鶏肉のおいしさは他にもあるのではないかと考えていました。それはなぜかといいますと、同じ品種の鶏肉でも生産者によって味が全然違うからです。去年「奥美濃古地鶏」を同じ飼料で違う生産者さんが育てられたものを食べる機会がありましたが、違いを感じることができました。その生産者さんも大事に育てていただいていることから、他に違いは何かと考えたときに、土地の違いが浮かんできました。今回はその背景にある「水」に目を向けたいと思います。
鶏の味を語るとき、エサや飼育方法に注目が集まりがちですが、実は「飲み水の質」も大切な要素です。水が澄んでいれば体内の代謝や浄化に良い影響を与え、結果として健康で美味しい鶏に育つ。私は岐阜で鶏に携わる中で、そのことを何度も実感してきました。
岐阜県、とりわけ岐阜市と隣接する山県市や関市には、昔から澄んだ湧き水や伏流水が豊かにあります。清流美どりや奥美濃古地鶏がこの土地で健やかに育つのは、そうした水の恵みがあるからこそ。
今回はいくつかの名水スポットをめぐりながら、「水と鶏肉の味のつながり」をご紹介します。
山県市 ― 桂水(けいすい)
谷間の岩肌から清らかな伏流水が湧き出す名水。善導寺の庭に古くから水汲み場があり、地元の人たちに生活水として親しまれてきました。
こんな澄んだ水が鶏の飲み水として身近にある環境に訪れると、それだけで鶏の健康や味に恵まれる理由がわかる気がします。
山県市 ― 円原川の伏流水
石灰岩質の地層を通って湧き出る円原川の伏流水は、天然の浄水器のようにろ過された水です。夏でも13℃前後と冷たく澄んでいて、地元でも名水として知られています。
晴れた朝には川霧が立ち上り、光が差し込む幻想的な景色に出会えることも。自然の浄化力と美しさ、そのどちらも鶏を育てる土地の魅力の一部です。
関市 ― 高賀の森水と高賀神水庵
関市の山あいから湧く「高賀の森水」は、非加熱でそのままボトリングされるほどの品質。高賀神水庵では、この水を自由に汲める場所があり、週末には多くの人が水を求めて訪れます。
近くには高賀渓谷や高賀神社もあり、水とともに歴史や自然を感じられるエリアです。鶏たちがこの地で育つ背景に、こんな豊かな自然の恵みがあるのだと思うと感慨深いですね。
関市 ― お宮の清水
森の中に静かに湧き出す「お宮の清水」は、岐阜県の名水50選にも選ばれています。石で囲まれた泉はどこか懐かしく、散策の休憩所としても人気。
人々が水を大切に守り続けてきた歴史が、いま鶏の味を支える環境をつくっているのだと思います。
もし岐阜にお越しの機会があれば、これらの名水をぜひ巡ってみてください。私の独断ですが、おすすめルートをご紹介します。
[山田おすすめルート]
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山県市(円原の伏流水・桂水) →モネの池→ 関市(高賀神水庵)→ふれあいバザール(お蕎麦屋)
途中でモネの池や農産直売所(おそばが美味しい!)を立ち寄れば、より充実した旅になるに違いありません。
見どころ
円原川の川霧は晴れた朝7〜9時が狙い目。
高賀渓谷や神社参道は、四季ごとに表情を変えます。
体験
高賀神水庵では初穂料を納めて水汲み体験が可能。ボトリング工場の見学もでき、水の価値を学ぶことができます。
ふれあいバザール(農産直売所)のおそばも美味しい
お世話になっているホテルさんでは、高賀神水庵でスープ用に水を汲みに行かれており、その帰りにふれあいバザールでお蕎麦を食べられていますが、そのお蕎麦が美味しいのでオススメです。モネの池も近いですね
岐阜の名水に育まれた鶏肉をぜひご賞味あれ
清流美どりや奥美濃古地鶏が育まれる山県市・関市という土地は、名水という見えない資源に支えられています。
清らかな水が鶏を健やかに育て、無添加でも十分に美味しい鶏肉につながる。そんな循環があるからこそ、清流美どりや奥美濃古地鶏は胸を張っておすすめできる存在です。
この記事をきっかけに、ぜひ美味しい鶏肉に舌鼓を打ちつつ、その味を支える名水にも思いを馳せていただけたら幸いです。

